住宅の耐震性に多大な影響を与えるシロアリ。
万が一、シロアリの被害に遭ってしまっていることが発覚した場合、早急に駆除を行う必要があります。
しかし住宅の設計によっては床下へ入れない場合もあります。
そういった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。
実例も含め解説致します。
白蟻駆除・予防消毒で床下へ入れない場合は?
シロアリは知らず知らずのうちに住宅の軸となる木材を蝕んでいきます。
被害に気付くには、庭先や住宅内に侵入したシロアリを見つけるしかありません。
しかし、光を嫌うシロアリは地中や床下で活動を行います。
その為、目視でシロアリを見つけるということはかなり困難です。
実際にシロアリ被害に気が付いた多くの方は、床がブカブカしてきたり、室内ドアが閉まり辛くなってきたり、床が抜けてしまったりと、実害が出てから気が付くことが殆どです。
この様に実害を感じるほど被害が広がってしまっている場合は、復旧や補強する為に大掛かりな工事が必要となってしまいます。
このようなシロアリ被害に遭わないために最も重要なのは、しっかりとしたシロアリ対策です。
シロアリ対策で最も効果的なのは、シロアリのエサにもなり被害に遭う木材と、シロアリの進入経路になる基礎周りや土壌に消毒剤を施工することです。
これらを行う為には床下点検口などから床下へ潜り、隅々まで施工を行う必要があります。
しかし住宅設計状況によって隅々まで人が入り込む隙間が無いといった住宅もあります、
ではそのような場合はどのように施工を行うのでしょうか。
外部から散布を行う
床下へ入れない場所があった場合、外部から消毒液を散布して施工を行うといった方法が最も一般的です。
例えば基礎の通気口などから機材を差し込むようにして散布するという方法や、床下に潜り付近の隙間などから散布するといった方法です。
他にも宅内から散布機材を差込み、消毒液を散布するといった方法もあります。
侵入経路を作る
他にも、新たに侵入経路を作るといった方法もあります。
その場合、基礎に穴を空けることは現実的ではない為、多くの場合は床下点検口を新設します。
床下点検口の新設は安価で短時間で終わり、付帯工事も不要な為、気軽に行うことが出来ます。
また、予防消毒は5年毎に行う必要があることや、点検口があれば水漏れなどの際にも使用できる為、あって損はないかと思います。
施工方法を変える
予防消毒や駆除の際に隅々まで入れない場合、施工方法を変えることで対応することが出来ます。
まずは予防の場合。
シロアリ予防は消毒液を散布することだけではありません。
他にもシロアリの好む環境を撤廃することで、シロアリが住みにくい環境を作ることが出来ます。
シロアリが好む環境は、「暖かい・光が無い・湿気が高い・気温が高い・風通しが悪い」です。
それらを解消する為に、床下換気扇を設置することで強制的に換気を行い、高温多湿にならない環境を作ることも出来ます。
この場合、床下全てに入れない場合でも施工は可能です。
次に駆除の場合。
駆除は被害箇所だけでなく、シロアリの巣の中まで徹底的に駆除を行う必要があります。
その為、一般的な方法だと床下へ潜り駆除剤を散布します。
しかし、床下全てに潜れない場合は、ベイト工法がお勧めです。
ベイト工法とは地中にシロアリのエサとなる毒餌を設置する工法です。
その毒餌をシロアリが巣に持ち帰ることで、巣の中にいるシロアリも全て駆除を行うことが出来ます。
このように工法を変えることで対応することが出来ます。
しかし前述したとおり、床下全てに入れるという状態を作っておくことで、水漏れ時に対応が出来たりするため、点検口の設置などがお勧めの方法になります。
床下へ入れない場所の代表例はこちら
そもそも何故床下に入れないという状態が起こってしまうのでしょうか。
いくつか例を紹介致します。
まずは隙間が狭すぎる場合。
本来、土壌から床下までは一定の隙間を空けて住宅を建てていきます。
しかし、設計時の隙間が狭く、人間が入れないほど狭いということがあります。
次に中基礎がある場合。
住宅内の間仕切りや柱を建てるために、基礎はお家の外周だけでなく、内部にも基礎を施工します。
その中基礎(内部にある基礎)が床下の経路を塞いでしまうことがあります。
次に配管などが邪魔になる場合。
キッチン・トイレ・洗面台などの水廻りの給排水が床下を張り巡らせている場合があります。
この場合、配管を動かすことが出来ない為、人が通れないということがあります。
特に浴室下や、玄関については入れないことがほとんどです。
次にリフォームを行った場合。
新築ではなく、一部間取り変更などでリフォームを行うことがあります。
その際、基礎の位置を把握しておらず、一部に入れなくなってしまうという状態を作り上げる場合があります。
入れない場合の施工方法について
前述した通り、万が一床下へ入れない場合は様々な方法で対応が可能です。
それらは大きく分けると「施工方法を工夫して対応する」「新たな侵入経路を作る」「施工方法を変える」と3つに分けることが出来ます。
最もお勧めの方法は「新たな侵入経路を作る」です。
なぜなら住宅の床下は全て入れる状況にしておくと、シロアリ被害以外のメンテナンスを行う場合にも使用できるからです。
例えば水廻りから水漏れが起こった場合や、基礎にクラックが入って補修や補強を行う場合です。
このように様々なメンテナンスを行う際にも使用できますし、シロアリ消毒も5年毎には行う必要があります。
その際にも使用が出来る為、床下には全て入れる状態を作っておくということは、住宅を健康に保つ上では欠かせない項目となっております。
また、予防消毒・駆除の施工方法を変えるという方法もありますが、あまりお勧めは出来ません。
床下換気扇を設置する、ベイト工法で駆除をするというのは、消毒液散布や駆除剤散布に比べ確実性が低く、即効性が無い為です。
シロアリ被害は一度遭ってしまうと取り返しがつかなくなる可能性があるので、なるべく確実な方法で対応してください。
まとめ
全ての床下に入れないというのは図面などでは判断し辛い現象です。
点検の際などにそのような現象が発生した場合には、今後のメンテナンスなども考えて適切な方法で対応してください。