耐震基準が厳しく設定されている日本
日本は地震大国と言われています。
身体に感じない「無感地震」を含めると、全世界で発生した地震のうち10~15%、マグニチュード6.0以上の巨大地震に限って言えば20%が日本で発生したと言われています。
近年も2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震が各地に甚大な被害を及ぼしたことは記憶に新しいと思います。
そのため日本では建築基準法の中で耐震基準が厳しく設定されています。
たとえば、2009年にイタリアのラクイラ地方で発生したマグニチュード6.3の地震では300人の命が失われ、600万人以上が住む家を失いました。
一方、2018年に大阪北部で発生したマグニチュード6.1の地震による犠牲者は6名、住宅の全半壊は535棟に留まっています。
被害の現れ方には、震源の深さや揺れ方、周辺の人口密度などが関わるので一概には言えませんが、我が国の地震に対する基準の高さが窺えるのではないでしょうか。
こちらの記事では、そんな日本の耐震基準について詳しく解説しようと思います。
建築基準法
旧耐震基準と新耐震基準
日本の耐震基準は建築基準法という法令によって定められています。建築基準法は1950年に制定され、1981年に大幅な改正がおこなわれました。
その1981年を境にして、それぞれ旧耐震基準と新耐震基準と呼ばれています。
旧耐震基準は震度5クラス、新耐震基準は震度6強から震度7の地震でも倒壊しないことを目標とした数値設定となっています。
さらに2000年には、5年前に発生した阪神淡路大震災の被害状況を踏まえて、木造住宅の耐震基準が引き上げられました。
具体的に言うと、筋交いを金物で固定すること、壁の量や配置を適切にすること、そして地盤に応じた基礎を採用することなどです。
床下の基礎は耐震基準に大きく影響
建築基準法で定められているということは、地盤に応じた基礎を採用すれば耐震性を向上させられることがわかります。
地盤を考慮し、適切に基礎工事をおこなうことで、地震による被害を最小限に抑えることができるのです。
(国土交通省国土技術政策総合研究所 学会悉皆調査結果より)
実際、2016年に発生した熊本地震で震度7の揺れを記録した益城町でも、2000年以降に建てられた木造建築では大破・崩壊・倒壊した家の割合が6.0%に留まっています。
旧耐震基準では大破・崩壊・倒壊が45.7%、新耐震基準でも18.4%あることを考えると、床下基礎が耐震に果たす役割の大きさがよくわかるのではないでしょうか。
建築基準法と耐震基準の今後
基礎補強工事が必須な時代が到来?
2000年の建築基準法改正が阪神淡路大震災の被害を踏まえておこなわれたことはすでにお話ししたとおりです。
それだけでなく1981年の建築基準法の大幅改正は1978年の宮城県沖地震がきっかけなんですよね。
つまり巨大な地震が発生するたび、建築基準法はアップグレードされてきたのです。
2016年の熊本地震のあと、現時点で建築基準法は改正されていません。
しかし、近い将来、建築基準法は改正され、さらに厳しい耐震基準が設定される可能性は高いのではないでしょうか。
実際、鉄の数倍の引っ張り強度を持つアラミド繊維を使用したタックダインを基礎に張り付けて補強したり、コンクリートの防水・撥水剤であるハイドロスカイを使用したりすることで、基礎の耐震補強をおこなうことも一般的になりつつあります。
やがてはそれらの工事が義務化される日が来ても驚けませんよね。
国民の生命や財産を守るため建築基準法は今後も改正されていく
建築基準法とは、国民の生命や財産を保護するため、建物の敷地や構造について規定している法律です。
震災を教訓に建築基準法は改正を繰り返してきました。
もちろん震災が二度と起こらないのが一番なのは言うまでもありませんが、冒頭でもお話ししたように、日本が地震大国である以上、それは望むべくもありません。
残念ながら今後も大きな地震はいつかどこかで発生してしまいます。
次の巨大地震の震源地が、あなたの住んでいる地域ではない保証なんてどこにもありません。
でも、どんなに大きな地震が起きても被害が出ない家は今後つくれる可能性がゼロじゃないですよね。
少なくとも被害を減らすことは絶対にできるはずです。
だからこそ国も個人も地震に備えて知恵を絞らなくてはならないのです。