基礎コンクリートは建物を支える重要な構造体です。

基礎コンクリートが劣化していると耐震性の低下や土台などの木部の腐食、シロアリ被害、鉄筋の錆など様々な被害に合う可能性があります。

このような被害に合わないためにも基礎コンクリートの状態をチェックすることはとても大切です。でも、基礎の状態を確認するには何を確認したらいいかわからない方も多いかと思います。

今回は基礎コンクリートの状態をチェックする内容や方法についてご紹介していきます。

床下点検・検査

基礎コンクリートのチェック箇所はどこ?重要な7項目

まずは、基礎コンクリートの状態をチェックする箇所についてお伝えします。

基礎コンクリートのチェック箇所は下記になります。

  1. 基礎コンクリートの仕様
  2. 基礎コンクリートのひび割れ(クラック)
  3. 基礎コンクリート表面の状態
  4. 基礎コンクリートのカビやシミ
  5. 基礎コンクリートの鉄筋の露出
  6. 基礎コンクリートの換気口
  7. 基礎コンクリートにある蟻道 

基礎コンクリートは目視とクラックスケール、打診棒、鉄筋探査機、含水率系などを使ってチェックします。

また、状態を見るときは、基礎の仕様や劣化具合、水の侵入があるか、シロアリの痕跡である蟻道がないか、などひとつひとつ丁寧にチェックすることが大切です。

<お家の床下を点検する時の注意点や方法はこちら>
⇒床下の点検が必要な9つの理由とは?

基礎コンクリートの状態をチェックする方法

上記で基礎の状態をチェックする箇所の確認ができました。

では、次に基礎コンクリートの状態をチェックする方法についてお伝えしていきます。 

基礎コンクリートの状態をチェックする前に用意しておきたい道具

基礎コンクリートの状態をチェックする前に、まず用意しておきたい道具があります。

  1. クラックスケール
  2. 打診棒
  3. 鉄筋探査機
  4. 含水率計
  5. LEDライト

これらの道具があることで、基礎コンクリートの状態をより細かくチェックすることができます。上記で挙げた道具は、ホームセンターや、Amazon・楽天市場などでも手に入れることが可能です。

1. 基礎コンクリートの仕様をチェック

基礎コンクリートの仕様は、「建築確認申請書」や「図面」、「仕様書」でチェックすることができます。現状の基礎コンクリートが布基礎なのかベタ基礎なのか、鉄筋が入っているかなどをチェックします。

引用:https://polaris-hs.jp/zisyo_syosai/kisohuse.html

上の写真が基礎伏図です。これは床下に通る基礎がどう打たれているか記されている図面で、この図面を見ることで外側からでは見ることができない基礎の内側の構造配置を知ることができます。 

引用:https://polaris-hs.jp/zisyo_syosai/kisohuse.html

また、基礎伏図には他にも、基礎コンクリートの立ち上がりの垂直断面の記載もあります。そこには、鉄筋の太さやどのように配筋されているのかも記載があります。D10やD13というのは鉄筋の太さで、10mm、13mmの鉄筋が入っていることを示します。

@200は鉄筋の間隔を示していて、200mm間隔で鉄筋が組まれていることがわかります。

2. 基礎コンクリートのひび割れ具合をチェック

ひび割れはクラックスケールを使って確認します。クラックスケールには様々な幅の線がスケールに書いてあり、上の写真のようにひび割れに重ねるようにして幅を測ります。

0.3mm未満のひび割れは、「ヘアークラック」と呼ばれ、構造的には問題がないことが多いです。

0.3mm以上のひび割れは、注意が必要で補修をしたほうが定められる「構造クラック」です。建物の構造体や、床下に関連した場所への二次被害がある可能性があります。

また、0.5mm以上のひび割れになると構造体への影響の確率が格段上がります。お家(床)の傾きや外壁のひび割れなど様々なところに影響が出ている場合が多いです。

打診棒を使って基礎コンクリートの表面を叩いてあげたときに鈍く軽い音がした場合は、表面の化粧モルタルが浮いているだけの可能性があります。逆に叩いた音が硬く跳ね返るような音だと構造体までひび割れがある可能性があります。

0.3mm以上のひび割れが確認されたときは、ひび割れ補修を行うことをおすすめします。 

3.基礎コンクリートのモルタルの浮きをチェック

基礎のモルタルの浮きは打診棒で表面を叩いてチェックします。モルタルの浮きがある箇所を叩くと鈍く軽い音がします。

モルタルの浮きだけだと基礎コンクリートの構造体にはそんなに影響がありません。しかし、あまりにモルタルの浮きがある場合、浮いている箇所から少しずつモルタルが剥がれていきます。

モルタルが剥がれることによって建物の美観が損ねることや箇所があると基礎コンクリートの劣化を早める可能性があります。 

4.基礎コンクリートのエフロや水シミをチェック

基礎コンクリートのカビやシミは目視によるチェックになります。エフロや水シミがある場合は、水が侵入していたり湿気が多い可能性があります。

基礎コンクリートに水が侵入してしまうと、基礎コンクリート表面の劣化や中に入っている鉄筋が錆びてしまう可能性があります。

含水率計で基礎コンクリートの水分量をチェックすることができます。基礎がある床下は湿気が多く水気があるため、シロアリを寄せ付けてしまう原因ともなり注意が必要です。 

5.基礎コンクリートの鉄筋の露出をチェック

基礎の鉄筋の露出は、目視によるチェックになります。現状の基礎コンクリートの鉄筋が露出している場合は、かなり深刻になっている場合がほとんどです。早急に修繕をおこなうことをおすすめします。

構造体であるコンクリートが剥離し鉄筋が露出してしまっているため、強度が落ちている可能性があります。

修繕するときは、補修ではなく耐震性に影響がでない基礎補強が必要です。

また、鉄筋探査機を使って現状の基礎コンクリートの中に鉄筋が入っているかをチェックしましょう。

鉄筋が入っている場合は、「鉄筋が正しく配筋されているか」「被り厚さやピッチは仕様書通りか」などをチェックすることが大切です。 

6.基礎コンクリートの通気口をチェック

基礎の通気口も目視によるチェックになります。通気口の角はひび割れが起きやすい箇所ですので、ひび割れが起きていないかチェックしましょう。

また基礎コンクリートの立ち上がりが低いと通気口から水が侵入してくる可能性があります。

通気口から水が侵入していると基礎コンクリートの劣化を早めたり、シロアリの被害や土台の腐食が起きる危険がありますので、基礎コンクリートの立ち上がり高さをチェックしてください。 

※最近の住宅では「基礎パッキン」がコンクリートの上に敷かれ、空気を取り入れていますので、通気口がありません。

7.基礎コンクリートに蟻道があるかチェック

基礎コンクリートに蟻道を発見したときは、シロアリ業者に点検や駆除のための薬品を散布してもらうことをおすすめします。

シロアリの蟻道は目視によるチェックになりますが、そこで蟻道を発見された場合はすでに建物の中に侵入している可能性が高いかもしれません。

白アリ被害にあってしまうと、木造住宅だと構造体である柱や土台などの木が食べられてしまうので耐震性が落ちてしまう危険があります。

もし、基礎コンクリートに蟻道を発見したときは、早急にシロアリ業者に点検と駆除を依頼しましょう。 

家の外側だけでなく、基礎コンクリートの内側をチェック

床下から見ることができる基礎の内側も確認する必要があります。基礎内側を確認するには、床下点検口からになります。

床下点検口は台所や洗面所に設置してあることが多いです。もし床下点検口の場所がわからない場合はこちらにてご確認ください。

<床下点検口の場所はこちら>
⇒床下点検口はどこにある?メンテナンスに大切な点検口をチェック

お家の外側は基礎コンクリートの表面に基礎巾木(化粧モルタル)が塗られている場合があります。そのため、化粧モルタルだけひび割れがあるのか、内側のコンクリートまで貫通してひび割れがあるかの判断が難しい場合があります。

しかし、床下から見た場合、外側と違って化粧モルタルが塗られていません。そのため、正確に現在の状態を把握することが可能になります。

ひび割れの場所や幅、長さによっては基礎の強度が落ちている可能性があり、基礎の補強工事が必要になる場合があります。 

<お家の床下を点検する時の注意点や方法はこちら>
⇒床下の点検が必要な9つの理由とは?

基礎コンクリートの確認は専門会社にお任せください!

ここまで基礎コンクリートの状態をチェックする方法についてお伝えしてきました。

基礎コンクリートの状態は、外側と内側の両方をチェックする必要があります。基礎の内側を見るときは、床下から診なければなりません。

床下は狭く暗いため、チェックするにも大変です。

基礎の外側で異変を確認できた場合は、基礎の専門家など住宅を診断してくれる会社に依頼して定期的にチェックしてもらうのをおすすめします。

床下点検・検査

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