住宅の重みを支える基盤でもある基礎。
基礎は経年と共に劣化する為、都度補修や補強といった工事を行いメンテナンスしていく必要があります。
しかし、古民家の建物は最近建てられた家とは基礎の作りが異なります。最近の住宅は耐震基準がかなり上がりその厳しい基準をクリアしたものが建っていますが、古民家はどうでしょうか。
ここでは、古民家(古屋)の基礎の構造や、弱い基礎の補修・補強工事についてを紹介します。自分(DIY)で補修工事を行う方法についても簡単に触れて解説いたします。
古民家・古家の基礎コンクリートの補強方法について
日本の住宅には、築年数50年以上経つ古民家や古家が現代でも数多く形を残しております。そんな古民家や古家を今後も残し続けるためには、基礎の強度を上げるための補修・補強が非常に大切です。
基礎は住宅の重みを支える基盤となる部分です。基礎が弱っていると、地震などによる災害や、住宅の重みに耐えられなくなり、崩壊してしまう原因になってします。
また、基礎は経年と共に自然と劣化してしまいます。その為、都度補修や補強というメンテナンス工事を行う必要があるのです。
築50年以上が経つ住宅の基礎の中には、現代とは異なる基礎の構造をしていたり、素材が使われていることが多いです。今回はその内の1つでもある「玉石基礎とコンクリートブロック基礎」をみていきましょう。
古民家・古家の基礎例1(玉石基礎)
現代の住宅の基礎は、布基礎やベタ基礎など、工法問わずコンクリートが使用されています。コンクリートの上に土台を乗せ、柱を建て、住宅を支えております。
しかし、古家の中には基礎にコンクリート以外の素材が使用されているケースがあります。それはまだコンクリートが無かった時代だった為です。
その時代には、基礎には石が使用されていました。この写真のように地面に石を設置し、その上に束となる木材を直接建てるようにして住宅を支えています。この工法を玉石基礎と言います。
この玉石基礎は一般的に古民家に採用されている日本の伝統的な建築方法です。しかし現代の住宅に比べ耐震性が極めて低く、かなり危険な状態となっております。
古民家・古家の基礎例2(コンクリートブロック基礎)
他に古家の中にはコンクリート基礎の住宅も存在しております。
しかしその多くは現代のコンクリート基礎と違い鉄筋が入っていない無筋基礎だったり、経年によるクラックが入っていたりとメンテナンスが行われておらず強度が保たれていないという状態になっております。
この写真はコンクリートブロックを積み重ねて家を建てた「コンクリートブロック基礎」です。
やはり、どちらの工法にしても現在の耐震基準に満たない低強度のため、適切な工法で補修・補強を行う必要性があります。
<ブロック基礎の補強方法についてはコチラ>
⇒住宅のブロック基礎の補強方法は?ハイブリット工法で強度アップ!
古民家・古家の基礎はどう補強したらいい?
古民家・古家の基礎補強について解説致します。
玉石基礎の補強について
古民家に多く採用されている玉石基礎の場合。まず玉石基礎の弱点は、基礎となる玉石が1つ1つ独立しているということです。地震などの揺れで付加が掛かるとずれてしまう恐れがあります。
もう1つの弱点は束が土壌と近いという点です。束が土壌と近いと、土壌からの湿気を受け腐食の原因となります。その為、この2点を解消するように補強工事を行う必要があります。
引用:http://www.miyabi-excel-home.jp/
玉石基礎の場合、補強工事はかなり大掛かりな工事となります。床下の土壌を鋤き取り、土間コンクリートを流して玉石を一体化させるという方法です。
その工程は概ね次の通りです。
- 土間部分に砕石を敷き転圧をかける(地耐力をつける)
- 透湿シートを敷く
- 配筋を組む
- コンクリートを打設する
玉石と地面に新しく入れるコンクリートと一体化させることで、地震などの揺れに対して玉石がずれないようにし、強度があがるという効果が生まれます。
また、土間にコンクリートを流すことで、土壌からの湿気が上がってこないように対策を行うことも出来ます。
玉石基礎に対して非常に有効な工法ではありますが、1階の床を全て剥がした状態で、床下の土壌を鋤き取る必要がある為、フルリフォーム規模となります。
施工がかなり大掛かりでコストが高く、住みながら工事を行うということも不可能な為、仮住まいなどの必要があるというデメリットがあります。
コンクリートブロック基礎の補強方法について
次に古家で基礎がコンクリートブロックの場合です。
玉石基礎よりもこちらのコンクリートブロック基礎のほうが補強工事は簡単です。そして、比較的小規模な工事で補修・補強を行うことが出来ます。
コンクリートブロック基礎の場合は、床下のどこにコンクリートブロックがあるかを確認し「ハイブリット工法」という工事で補強を行います。
<ブロック基礎の補強方法についてはコチラ>
⇒住宅のブロック基礎の補強方法は?ハイブリット工法で強度アップ!
ハイブリッド工法とは、光ファイバーやタイヤなどにも使用され、鋼鉄の約5倍の強度をもつ「アラミド繊維」と、樹脂の中でもトップクラスの接着力を誇り、揺変性がある「エポキシ樹脂」を組み合わせた工法です。
このハイブリッド工法の特徴は、補修と補強が同時に行えるという点、工期が短いという点、室内などの付帯工事が必要無いという点、公共施設などでも採用される高い信頼性があるという点です。
注意が必要なのは現在のお家よりもブロックの数が少ない場合があるため、その部分については束や他の方法で補強を行ってあげる必要性があります。
ブロックそもそもの強度が低く、クラックの有無に関わらず基礎補強工事を行うほうがよいのがこのコンクリートブロック基礎ですが、うかつにカットシール工法や、エポキシ樹脂の注入だけで問題ないと判断するのは危険ですので、くれぐれも注意してください。
古民家・古家基礎補強の費用はどれくらい?
玉石基礎の補強工事費用について
玉石基礎のような基礎で補強を行う場合は、住宅床下の土壌を鋤き取り、土間コンクリートを流し込みます。費用についてはかなり手間のかかる工事となるため基礎補強工事だけで100万円以上かかる場合がほとんどです。
そして、上記の金額に床を剥がすなど別途室内工事の費用が追加される為、かなりの高額な費用となります。
コンクリートブロック基礎の補強工事費用について
コンクリートブロック基礎の場合、ひび割れ1か所の補修費用は1か所につき、5,000~10,000円ほどです。
ブロック基礎全体を補強したほうが良いため、ハイブリット工法での施工の場合、1mあたり15,000~30,000円が相場となります。お家全体を補強する場合は、コンクリートブロックの範囲によっても変わりますが、おおよそ50~100万円ほどでしょう。
自分で(DIY)補修する方法について
土間コンクリートを流す工法やハイブリッド工法などは専門業者に依頼しないと施工が難しいですが、ひび割れ程度であれば自分(DIY)で補修することが出来ます。
コンクリート補修専用パテや、液体状の補修材はホームセンターやAmazonなどで市販されております。それらの材料を使用すれば簡単に自分(DIY)で補修をすることが出来ます。
まとめ
基礎は住宅の基盤で、住宅を維持する為には非常に大切な部分です。
玉石基礎の場合は、床を剥がしてコンクリートを土間に入れていくため、かなり大掛かりな工事となります。コンクリートブロック基礎の場合は、お家にもよりますが、ハイブリット工法で強度を上げることが可能です。他にも束を入れたり、他補強手段がある場合はそこも検討したほうが良いでしょう。
また、性質上自然に劣化してしまう部分なので、定期的なメンテナンスを行い、住宅を倒壊から守りましょう。