基礎コンクリートを見ると晴れている日なのに常に染みや、濡れているような場所があったりしませんか?
これは「雨染み」といい、特に気にする必要がなさそうに見えますが、長い年月をかけて基礎が劣化する原因ともなりかねません。
今後どのようなトラブルが発生する可能性があるのか、原因や対策とともにご紹介します。
基礎コンクリートの雨染みとは?
基礎コンクリートの雨染みとは、基礎の内部まで雨水や水分が入り込んでいることがわかるサインとなります。
一見、基礎(化粧モルタル)の表面だけ濡れているように見えますが、コンクリートは水を通す成分のため、地面から水分をくみ上げたり、雨水が基礎にあたることで水分を含んでくるのです。
基礎の雨染みとなる6つの原因
基礎コンクリートに広がる雨染みは様々な原因が考えられます。また、色々な要素が複合的に組み合わさっている場合も多いです。こちらではその代表的な例5つをご紹介します。
1.地面から水分(雨水)を吸い上げる
元々水はけの悪い土地であったり、排水性が良くない庭の構造だった場合は、地面に水分が溜まりやすくなります。そうすると土壌の透水性が悪いため溜まった水分を基礎コンクリートが吸い上げることにより雨染みになることがあります。
また、周りの土地よりも低い位置にある場合も、高い位置からの雨水が溜まり、滞留することが多いです。
2.雨の跳ね返りによる染み
基礎コンクリートの付近に物が置かれていると、雨の跳ね返りで基礎に雨水があたります。1日2日であれば問題ないようですが、長い年月その状態になっていると積み重ねで染みが濃くなってきます。
3.内側の給排水の漏水による染み
築20年を経過しているお家にあるのは、給水管の錆による漏水や排水管の漏れによるものです。これらの漏水はお家の内部(床下)からくるものですが、コンクリートは水を吸う性質がありますので、床下に溜まった水分も同様に吸い、外に放出しようとします。
水道代が高くなったり、臭いに気づいた場合は速やかに床下を点検したほうが良いでしょう。また、洪水などで床上・床下浸水した場合も同様です。
※給水管の漏水の可能性がある場合は、一度すべての水道の栓を閉めて、水道メーターを確認してください。そうすると、メーターボックスのパイロットがクルクルと動いていれば給水管のトラブルの可能性があります。
4.雨樋が詰まり水が溢れている
雨樋が詰まりったり、割れたりして変なところから漏水している場合も基礎コンクリートの一部分に水があたります。地面や床下だけでなく、庭に出たら上の方も見上げて、割れや詰まりがないか確認してください。
5.植木や鉢植えへの水やり
鉢植えを基礎コンクリートの付近で育てる方も多いかと思います。綺麗な花や植栽にお水を欠かさずあげて育てていると、その近くのコンクリートにも水を当たっていることがあります。
私どもが点検させていただくお家の中には、水を上げている箇所だけ基礎の染みが濃く発生し、基礎コンクリートに横のひび割れが入っていたりします。
これは、中の鉄筋が水分を含むことにより錆びて膨張することにより外側のコンクリートを押し出しているからです。下の方にも記載しますが、爆裂現象というコンクリートを剥ぎ落してしまう重大な症状となる場合もありますので、注意が必要です。
6.雨水浸透桝による影響
最近のお家で多いのが、雨水桝に「雨水浸透桝」が使用されているケースです。雨水浸透桝とはこちらの写真のようなものです。
引用:株式会社ネクサス・アールハウジング
役割としては屋根に降った雨水を庭に浸透させるもので、今までの排水溝を使用し下水道管に戻す方法とは異なります。しかし、ちょっとした雨でこの雨水浸透桝はあっという間に満杯になってしまいます。
そして、台風や大雨が続く時期なんかは雨水浸透桝が満杯になるだけではなく、庭がまるで足湯ができる温泉のようにヒタヒタに水が溜まってしまうのです。
基礎コンクリートが水分を吸いあげやすい状況を作ってしまっている雨水浸透桝ですが、一体どのような危険があるのでしょうか。以下にて説明します。
雨染みが引き起こす基礎の重大なリスクについて
雨染みが普段からあると、基礎コンクリートが常に水分を吸いあげている可能性があります。そうなってくると怖いのが基礎コンクリートの中に入っている鉄筋の錆からくる「爆裂現象」です。
爆裂現象とは、錆びた鉄筋がコンクリートを外に押し出すことにより崩落させてしまう恐ろしい現象のことです。
基礎の中にある鉄筋が水分や大気中の二酸化炭素と結合することにより最大2.5倍まで膨れます。膨れた鉄筋は外側のコンクリートを押し出すことによりコンクリートに横のひび割れを発生させ、進行が進むとコンクリートを剥ぎ落したり、外側だけでなく床下側のコンクリートも崩壊させてしまいます。
また、縦方向のひび割れについてもコンクリート内部に水分が達したり、床下側に漏水することもあり、シロアリやカビなどの2次被害が起こる可能性もあります。
基礎にひび割れが発生した場合の対策とは?
上記の理由から基礎コンクリートにひび割れが発生していた場合には早急に対応が必要です。特に横方向に伸びるひび割れは、今後爆裂現象に繋がる恐れもあるからです。
まずは、雨染みの原因がどこにあるのかをきちんと調査し、そこからしかるべき対応をとった方がよいため、うかつな判断は基礎やお家の寿命を縮めることになりかねませんので、くれぐれもご注意ください。
また、こちらではひび割れの代表的な工法をご紹介します。適材適所で使い分けをして対策をしていきますのでご覧ください。
Uカットシール工法
コンクリートの表面をU字に削っていき、シーリング材やモルタルを塗布する工法です。ひび割れの防水に対して効果がありますが、シリコンの寿命が10年程度のため、再施工が必要です。
ビックス工法
エポキシ樹脂を使用した低圧注入工法です。低圧で注入するためコンクリートの内部までエポキシ樹脂がいきわたります。そのためコンクリート本来の強度が復活するという工法です。
基礎増し打ち
既存の基礎コンクリートの真横に新しいコンクリートを打設する工法です。既存の基礎と新しい基礎はケミカルアンカーでより一体化されるようにし、場合によっては床面(耐圧版)にもコンクリートを打っていきます。
布基礎をベタ基礎へ変更
お家の荷重を点で支える布基礎は、床下が土になっていることが多いです。そのためまず土をすくいそこにコンクリートを流し込んでいきます。
そうすることにより点から面で荷重を支えることができ、基礎コンクリート全体の強度が増していきます。また、防湿シートを耐圧版の下に敷くことにより床下の湿気が押えられるため、床下環境の向上にもつながります。
アラミド繊維シートによるハイブリット工法
鋼鉄の5倍の引張強度があるアラミド繊維シートを使用することにより基礎コンクリートの強度を上げることができる工法です。
アラミド繊維シートはエポキシ樹脂を含ませることにより強度を増す材料ですが、このエポキシ樹脂は防水性も備えているため外側からの水分の吸収も防ぐことが可能です。
まとめ
この記事では、よくありがちな「雨染み」の怖さについて紹介しました。症状が進むと「爆裂現象」が起こりやすくなるため、前もって対策を検討したほうがいいと思います。
また、最近では雨水浸透桝のお家が多いため、基礎の劣化が進みやすいのですが、家を建てて雨水浸透桝になっているということを知らない人が多いのではないでしょうか。
気づいた時には爆裂現象になっていたというお家も最近ちらほら見ます。何かの縁でこの記事をご覧いただいた方は本当に気をつけてくださいね!
コンクリートの雨染みとは、基礎内部まで水分が染み込んでいるサイン!
なぜ雨染みができるのか。6つの原因
・地面から水分(雨水)を吸い上げる
・雨の跳ね返りによる染み
・内側の給排水の漏水による染み
・雨樋が詰まり水が溢れている
・植木や鉢植えへの水やり
・雨水浸透桝による影響 ←最近のお家はこれが心配!
普段から基礎に水分量が多いと基礎にひび割れが入ったり、爆裂現象になり基礎を崩落させてしまう可能性があります。
まずは、どこから雨染みが発生しているのか調査が必要。うかつな判断は危険!そして、ひび割れが発生したら次のような工法がある。
・Uカットシール工法
・ビックス工法
・基礎増し打ち
・布基礎をベタ基礎へ変更
・アラミド繊維シートによるハイブリット工法