基礎補強工事の工法の違いは何?メリット・デメリットを徹底解説!

基礎補強工法はいくつか種類がありメリットやデメリットがあります。

工事にかかる日数や強度、工事費用も工法によって違いがあり、どの工法が適切か判断しにくいと思われます。

基礎は建物を支える重要な構造体で、基礎の劣化や強度がない場合だと建物の耐震性にも関わってきます。

地震大国である日本は、地震に強い建物が求められています。

今回は、耐震改修や基礎の補強を考えている方のために基礎補強工事の工法の違いについてご紹介していきます。

床下点検・検査

基礎補強工事の工法の種類

基礎補強工法は、簡易的な補修から基礎の強度を上げる補強があります。

それぞれ工法の違いがあり、工事にかかる費用や日数、向上される強度が違います。

ここでは、基礎補強工事に用いられる工法の違いについてお伝えしていきます。

Uカットシール工法

基礎補強の工法、UVカット工法

Uカットシール工法は、ディスクグラインダーという電動工具を使用して作業をおこないます。

基礎のひび割れているところに、ディスクグラインダーでU形にカットし、溝の清掃をした後にプライマーを塗布します。

プライマーの乾燥後、カットした溝にシーリング材を充填し基礎のひび割れを埋めていく補修工法です。

この工法は外壁のひび割れにも用いられる工法で、外壁の塗装前に補修して塗装をおこないます。

補修になりますので耐震性は向上しませんが、美観や劣化、シロアリ対策になります。

現状の基礎にひび割れがある場合、耐震補強をおこなう前にこのような補修をおこなう必要があります。

ビックス工法

基礎補強の工法、ビックス工法

ビックス工法は、特殊エポキシ樹脂のシール材と注入パイプを使用してひび割れを補修します。

特殊エポキシ樹脂のシール材は、注入することで内部圧力によりひび割れの深くまで時間をかけて入っていきます。

基礎補強の工法、ビックス工法

この内部圧力を利用しているため、隙間なくひび割れを埋めることができます。

ひび割れている箇所を清掃し注入パイプを取り付け、他のひび割れ部は注入材がでてこないようにシール材で埋めます。

シール材が硬化した後に、特殊エポキシ樹脂のシール材を隙間ができないように圧入し硬化させることで補修をおこないます。

アラミド繊維シート工法

基礎補強の工法、アラミド繊維工法

ポリアミドとも呼ばれるアラミド繊維シートは、高強度、耐衝撃性、耐蝕性に優れています。

この素材を基礎に貼ることで強度を向上させる工法がアラミド繊維シート工法です。

基礎補強の工法、アラミド繊維工法

鉄の5倍の引張強度を持ち、エポキシ系樹脂と併用して基礎の補強をおこないます。

基礎の清掃後、アラミド繊維シートの接着のために下塗りをおこないシートを貼ります。

アラミド繊維シートを貼った後、エポキシ系樹脂を塗布することで現状の無筋の基礎に比べて強度を上げることができます。

コンクリートを打って基礎を増し打ちするのに比べて、工期が短くコストもかからない工法になります。

基礎の増し打ち工法

基礎補強の工法、増し打ち工法

基礎の増し打ちは、耐震改修工事によく用いられる工法です。

基礎の増し打ちとは、現状の基礎の隣に新しく基礎を作るようなもので、現状の基礎と一体化させるために鉄筋の配筋接合をおこないコンクリートを打ちます。

基礎補強の工法、増し打ち工法

耐震改修で補強した柱や筋交いなどの設置によって引張りの力が強くなると、現状の基礎では耐えられない場合があります。

構造計算で引抜きの力に弱いと判断された基礎は、その力に耐えられるように基礎を増し打ちして強度を上げます。

基礎の増し打ちは、適切な箇所を補強しなければなりませんので、しっかりと耐震診断と構造計算をおこなう必要があります。

布基礎からベタ基礎にする基礎補強工事工法

布基礎からベタ基礎

布基礎からベタ基礎にすると、基礎にかかる建物の荷重が面荷重となり重さが分散されるようになります。

そのため、大きな地震の力にも強い基礎にすることができます。

また、地面にコンクリートが打たれるため布基礎の弱点である湿気対策にもなります。

布基礎からベタ基礎にするには、1階の床や壁を全て剥がす必要があるため、工事の規模が大きくコストもかかります。

解体や補強、復旧と工程が多く工期も長くなるため、全面リフォーム時におこなうことが多いです。

どの基準で基礎補強工事の工法を選ぶべきか

基礎補強は、いくつか工法があるのをお伝えしてきました。

しかし、結局どの工法にするべきかと判断がしにくいかと思います。

基礎補強に適切な工法を選ぶために必要なことは、建物に適した工法を用いることが大切です。

ここでは、いろいろな基礎補強工法を選ぶためのポイントについてお伝えします。

建物に必要なのは何か?を判断する

基礎補強ほ必要性

基礎補強の工法を選ぶときに建物に何が必要かを考える必要があります。

基礎のひび割れだけで建物の強度が十分であれば、基礎の打ち増しやアラミド繊維シートなど用いた補強は必要ありません。

ひび割れによる基礎の劣化やシロアリの侵入防止を防ぐ工法を選ぶ方がいいでしょう。

基礎のひび割れが著しく基礎の構造部まで被害がある場合や建物強度が弱く大規模地震に耐えることができない場合は、ひび割れ補修をするだけでは足りません。

また、基礎の補強だけでは耐震性のある建物とは言えず、地震に耐えられるように筋交いの設置や接合金物、耐力壁の設置が必要です。

基礎補強工事をする場合は、工事費用を考慮して建物全体を補強する

基礎補強工事工法はそれぞれかかってくる工事費用も違います。

地震に強い建物とは、建物全体の耐震性が必要になるため基礎だけを補強すれば強くなるというわけではありません。

そのため、基礎補強だけに費用をかけるのではなく耐震改修工事の全体的な費用を考えなければなりません。

建物強度が上がる総合的な耐震性を計算し、費用に合わせて適切な基礎補強計画をすることが大切です。

基礎補強工事前に必ず耐震診断をおこなう

地震に強い建物にするためには、まず建物のどこが弱いかを判断し、建物の補強計画をおこなわなければなりません。

耐震診断もせずに基礎の補強をおこなっても、地震に強い建物になっているか確証がありません。

基礎補強に限らず耐震改修工事をおこなう場合は、必ず耐震診断をおこない現状の建物強度の結果をだして補強計画を立てましょう。

建物の耐震性と工事費用を総合的に考えて基礎補強をおこなうことが大切

ここまで基礎補強工法の違いについてお伝えしてきました。

基礎補強工法は、それぞれメリットとデメリットがあります。

補強することで向上する強度や工事にかかる費用を考えて判断することが大切です。

そのためにも耐震診断をおこなって現状の建物の耐震性を知ることが大切です。

耐震診断をすることで、どこを補強すれば地震に強くなるかわかりますので、補強計画を立て適切な補強とかかってくる工事費用を考えておこなうことが大切です。

床下点検・検査
おすすめの記事はこちら